シニアマーケティングポータルサイト|シニアライフ総研®

祖父母と孫のつながりがテーマ 孫をもつ祖父母対象の雑誌

祖父母と孫のつながりをテーマにした
情報を紹介

株式会社トド・プレス 第2編集部 室長 門前貴裕氏

2016年4月 取材

image (1)

「孫の力」は2011年に創刊された「孫がテーマ」という大変ユニークな雑誌です。孫を持つ祖父母をターゲットにした雑誌ですが、主に祖父(シニアの男性)目線で制作されている事も特徴的です。

  • 発行:木楽舎
  • 発売:隔月(奇数月)
  • 定価:905円(本体価格838円+税)
  • 発行部数:5万部
  • サイズ:A4変形判


mago

Q.まず「孫の力」を発行する事になったきっかけを教えて下さい

統括編集長の小黒一三(おぐろかずみ)は、2010年に中国南部にある世界一の長寿村「巴馬(バーマ)」を訪れました。バーマは、100歳以上の超高齢者の割合が世界で一番高い村で、村にはたくさんのお年寄りが暮らしているのですが、お年寄りは口々に「孫が大切で孫の成長を見られる事が何よりも幸せだ」と話していたそうです。

当時、日本では「終活」や「エンディングノート」といった自分の死について考えるものが流行り出していましたが、小黒は「日本にはバーマのお年寄りのように孫の力がもっと必要なのではないか」と感じたのです。

また、動物学者の「島泰三(しまたいぞう)先生」の影響もありました。島先生は、主に猿の行動を研究している学者ですが、先生の研究によると、猿の社会は孫と触れ合う事はなく孫と触れ合う事ができる人間は特別な存在なのである、とわかったのです。

このようにバーマのお年寄り、そして島先生の研究がきっかけとなり、もっと孫の力が必要な日本で、孫をテーマにした雑誌を作りたいと考え発行する事になりました。

 

Q.数あるメディアの中でなぜ「雑誌」を選んだのでしょうか

ご存知の方も多いかと思いますが、小黒は「BRUTUS」の編集長でもあり、基本的にプロダクトアウトで物事を考えるタイプです。まず「こういう価値観を伝えたい」という思いが先にあり、孫をテーマにした雑誌をつくるという今まで誰もやらなかったことをやりたいと考えました。

そこで、自分のエンディングを考えている日本のシニアに「孫の事をもっと考えて未来に向かって生きようよ」というメッセージを発信したいと思ったのです。

また、シニア層は「雑誌」という紙媒体に対するシンパシーが強いので、紙であることの強みを活かせると考えました。

 

Q.「孫の力」が今の形になった変遷について教えて下さい

当初は、あまりマーケットを意識せずに「孫をテーマにした雑誌をつくる」という考えでスタートしました。創刊当時は、震災の影響もあり「震災が起きても大丈夫」というような内容や、お金や教育などに関するコンテンツを中心に取り上げていました。

その後、2012年の第6号から「孫と仲良くする」というテーマにしようと考え、「孫と夏休みに何をする」「孫をカメラで撮る」「孫と旅をする」などの企画を取り入れました。

それ以降も、孫と仲良くしようというテーマが多かったのですが、「そもそも60歳の祖父母が孫と仲良くする事だけを考えて良いのだろうか」と考え始めたのです。もちろん、孫との時間は大切ですが、それは人生の一部にしかすぎなく、祖父母自身がしっかりと生きる事が何よりも重要で「孫に格好良い背中を見せられるような祖父母になろうよ」というコンセプトに変更し、2013年11月に発売された第15号から大幅に内容をリニューアルしました。

その後は、「死ぬまでマンガ」「東京五輪を見てから死ね」「猫を抱いて死にたい」というような斬新なタイトルにしてみたり、逆に「生きたい」をテーマにしてみたりと、様々な内容にチャレンジしました。表紙もイラストから写真に変えるなどして、コンテンツ制作にも更に力を入れ、販売部数も右肩上がりで増えるようになり今の形となりました。

 

image

 

Q.人気のコンテンツやその他工夫されているところを教えて下さい

隔月発売なので毎号の制作が大変なのですが、取材やコンテンツにはとても力を入れています。その中でも特に「60日カレンダー」というコーナーは大変好評です。

60日カレンダーとは、60日分のインフォメーションをこちらで設定してアクションプランを決めてしまう、というものなのですが、例えば「○月○日 温泉に泊まりに行ってみよう」とか「□月□日 納豆を食べ比べてみよう」といったアクションプランが既に決められている為、それを実践している読者も多いようです。

雑誌の構成は、シニアが読みやすいようにシンプルなデザインにし、構造を複雑にしないように注意しています。フォントもなるべく大き目にして、紙の質にもこだわりシニアに響くような雰囲気づくりを演出しています。

 

Q.読者のターゲットはどのように設定されているのでしょうか

創刊当初は「孫がいる祖父母は60歳前後だろう」とイメージしていたので、その位の年齢を対象としていたのですが、実際には40代の方でも孫がいるケースもあるし、80代の方に40歳位の孫がいるといったケースもあります。この事は、当初あまり意識していませんでしたが、読者のターゲットを「3歳位の孫がいてまだ仕事はしているが定年退職を迎える65歳前後の男性」と設定しました。

なぜそのように設定したかというと、日本のアクティブシニアは、男性よりも圧倒的に女性のほうが多いのでシニアの男性がもっと元気になれるような雑誌をつくりたいと考えたからです。

実際には、男性だけでなく多くの女性にもご購入頂いており、また、孫がいない方にもご購入頂いているのですが、あくまでも男性目線で今後もつくっていきたいと考えています。

 

Q.これからのシニアに必要な事は何でしょうか

体が動くのであればテニスなどのスポーツを楽しむ事も良いかと思います。しかし、体がうまく動かないとしても学ぶ事は出来ます。体が動く事だけがアクティブではないと思いますし、これからのシニアが格好良さを構築するためには知性が必要だと考えています。

雑誌の連載でも、生物学者の「福岡伸一(ふくおかしんいち)」先生が校長を務める「知恵の学校」の学習内容を一部掲載しています。この「知恵の学校」は、ブックマイスターを目指す学校ですが、この学習を通じて知性を高めてもらう事が重要であると考えています。

また、これからのシニアは、社会ともっと関わっていく事で人生を楽しむ事ができると思います。誰かに期待されたりすると幸せを感じたりする事がありますよね。社会ともっと関わって、知性があり格好良いシニアになる事を目指して頂きたいと思っています。

 

Q.今後の展開などについて教えて下さい

企業とのコラボレーション企画などにも力を入れていきたいと思います。今までにも証券会社や日本郵便などとコラボレーションして、シニア向けのサービスをいくつか紹介してきました。例えば、日本郵便の「みまもりサービス」を3回にわたって特集しましたが、このサービスは、60歳位の方々の親(80歳~90歳位)が離れて一人で暮らしている場合などに、全国にある郵便局の社員がお家に訪問して様子を確認し、家族に報告してくれるというサービスです。このようなサービスを紹介する事により、読者の反響も非常に高く、また日本郵便にも大変喜んでもらえました。

今後も、雑誌の編集コンセプトを維持しつつ、しっかりとしたレギュレーションの中で、出稿企業のニーズにも合わせられるような形でタイアップなどの特集も盛り込み、読者に必要な情報を発信していきたいと思います。

image

 


上記メディアの詳細、その他シニア向けメディアプランニングについては、
ルーツ・オブ・コミュニケーション株式会社までお問合せください。

1470027360