繋がる、そこから始まる。

セールス・フォース・アセンブルという考え方

2010年7月より、中国人観光客に対するビザ発給要件が緩和。
不況の中、外貨獲得施策として注目される中国人インバウンド施策について、最新の情報をお届けします。

繋がること、それがセールスフォースの基点です

2010年10月、いよいよ新滑走路が稼働開始

2010年10月、1日24時間約3年間の工事を経て羽田空港に全長2,500mのD滑走路が完成し滑走路が計4本となる。 滑走路はアスファルトの厚さが40cm、更にその下には砂利等の層が1mあり、250tの飛行機の付加に耐えられるような構造となっている。 これにより、国際便の圧倒的な増便に対応し、いよいよ羽田空港がハブ化の第一歩を踏み出し、国際化に向け生まれ変わる。

また、新滑走路は埋立構造と桟橋構造を組み合わせたハイブリッド構造で、多摩川の下流側を流れを堰き止めないよう、環境にも配慮された構造ということでも注目される。 滑走路の完成と同時に、面積約1万㎡(テニスコート38面分)の出発ロビーを有す、新国際ターミナルビルも完成 3F出発フロアには多数のブランドショップ、4Fには外国人観光客の需要を狙った江戸マーケットプレイス、そして5F(最上階)にはプラネタリウム・カフェと、国内初の本格的な24時間空港として備えられるシャワー室、仮眠室などが設けられる。

国際線発着拡大に備え造られた新管制塔は、115.7mを誇り、これは世界3番目の高さとなる。 ちなみに、1位はタイ・バンコクの「スワンアプーム空港」で132.2m、2位はマレーシアのクアラルンプール空港で118.5mである。 羽田空港の旧管制塔は77.6mであったが、ここからでは新たに造られるD滑走路が見えないこともあり新管制塔が造られた。

これまでの羽田の発着回数は30.3万回(/年間)。 1時間あたり30便、2分に1機のハイペースで、この離着陸量を10人の管制官が守っていたのだが、これが10月からは最大で40.7万回に増加する。

ハブ空港としての期待

このような進化を遂げる羽田空港であるが、特徴として都市部との距離が短くアクセスしやすい点が挙げられる。 世界の主要空港と比較した場合の空港~都市間の鉄道アクセスは以下の通りである。

  • 羽田空港 ~ 東京(浜松町) : 14分
  • J.F.ケネディ空港 ~ ニューヨーク : 35分
  • シャルル・ド・ゴール空港 ~ パリ : 29分
  • 北京首都空港 ~ 北京 : 26分
  • チャンギ空港 ~ シンガポール : 27分
  • 仁川空港 ~ ソウル : 90分(バス)

こうして比較すると、羽田がいかに便利なロケーションに立地する空港であるかということがおわかりいただけるだろう。

現在、アジアのハブ空港といえば、羽田でも成田でもなく仁川(インチョン)空港がその座を担っていると言える。 それは、前原国土相さえもが、 「いま日本にハブ空港はない。仁川が日本のハブ空港だ」 との発言をしていることから裏付けられていると言えよう。

注目すべきは前原国土相が「アジアのハブ空港」ではなく、「日本のハブ空港」と発言したことである。 羽田がハブ空港としての機能を果たしていくためには、現在の仁川空港が果たす機能についてしっかりと知っておく必要がある。
これについては別途表そう。

仁川空港に見るハブ空港の考察

羽田空港のハブ空港化を語る前に、2点触れておかねばならない問題がある。 それは、

  1. そもそもハブ空港とはなんぞや
  2. アジアのハブ空港と言われる仁川空港の取り組み

の2点である。

ハブ空港とは

ハブ空港とは、航空路線を自転車などの車輪に例え、スポークを路線に、車輪の中央の轂(こしき=ハブ)を空港に見立てたことより生まれた言葉である。
国内地方都市はもちろん、海外との接続もハブ空港が担うことにより、旅行者はハブ空港で1回のトランジットをするだけで、あらゆる目的地に到達できる。
従ってハブ空港にはハード的なポテンシャル、すなわち大量の発着処理能力が求められる。
それ故羽田はD滑走路を建設したわけだが、しかしながらこれだけではハブ空港は機能しない。
ハブ空港であるがためにはハードだけでなくソフト、すなわち多くの便が就航するための航空会社との契約が必要である。
そのためには、航空会社が空港に支払う発着料もカギになる。
この辺りの戦略を国家レベルで策定し、アジアの空の覇権を確保しつつあるのが、韓国・仁川空港なのである。

仁川空港の戦略

アジアを中心に世界への就航便を多数擁する仁川空港であるが、注目すべきは日本の地方都市への就航便の多さである。

  • 【北海道・東北地方】札幌(新千歳)旭川(※夏季のみ運航)・函館・青森・秋田・仙台・福島
  • 【関東・中部地方】茨城・東京(成田)・新潟・富山・小松・静岡・名古屋(中部)
  • 【近畿・四国・中国地方】大阪(関空)・米子・岡山・広島・高松・松山
  • 【九州・沖縄地方】福岡・北九州・長崎・大分・熊本・宮崎・鹿児島・那覇

※ 2010年8月現在 wikipediaより

これにより引き起こされる現象として、看過できないポイントがある。 それは、日本の地方から世界に向かうための経路として仁川空港が大きく機能しているという事実である。

これまで日本では、成田が国際空港、羽田が国内とすみ分けられてきた。
従って当然のごとく上記の地方都市からも羽田への便は存在する。
しかしながら、そこから先が問題だ。
日本の地方都市から海外に向かうためには、羽田から成田に移動する必要があり、ここの距離感がトランジットの利便性を阻害する。
対して、仁川を経由すれば1空港内で国際線へのトランジット環境が実現されており、時間はもちろん価格的にもメリットが大きい。

ならば、羽田を使わず成田でトランジットすればどうだろうか。
残念ながら日本の地方都市と成田を結ぶJALの路線は、主要都市を中心とした5路線のみである。

これを見ても、仁川が日本の地方に対し、「きめ細やかな戦略」で便の就航を成し遂げていることがわかるだろう。

前原国土交通相が、自虐の念も含めて、
「日本のハブ空港は仁川空港だ」
と発言した理由はここにあるのだ。

JALが疲弊し再建策に奔走する中、日本の交通アクセス環境はそのコアを韓国に握られつつある。 更にはこの国で地方活性化や地方自治の推進などが叫ばれて久しいが、こと交通環境の充実化という視点で言うならば、それが実践できている企業は大韓航空のみと言っても過言ではないだろう。 こんな皮肉な話はない。

昨今の「羽田空港のハブ空港化」議論が沸き起こってきている背景には、このような事情が存在するのである。

中国人観光客増加で「マナー」に困惑

8/27放送のフジテレビ「とくダネ」にて、 「中国人観光客増加で"マナー"に困惑」 という特集が組まれた。

中国人に人気の観光地・東京浅草では、外貨を落としてくれる中国人観光客を歓迎しつつも、その一方でマナーの悪さ(?)に困惑し、場合によってはもめごとにも発展する場面もあるようだ。

例えば、

  • ビニール袋入りの商品をビニールを破って出してしまいまた元に戻す
  • まんじゅうなど食べ物にも素手で触れてしまう
  • 「ディスカウント、ディスカウント」と言い、とにかく値切る

などなど。 店によっては、まんじゅうの陳列箇所をガラスで覆ってみたり、また値切り対策としては「商品不能再便宜了」(これ以上値下げすることはできません)とのPOPを掲出していたりする。

それだけではなく、浅草寺では更に困った問題が…。
何と、トイレの個室内に使い終わったトイレットペーパーが山積になっている。
これらはすべて中国人観光客が積み上げていったものなのだが、これには中国人の習慣の違いが起因している。

中国に旅行したことがある方ならご存知だと思うが、中国ではトイレットペーパーを便器に流す習慣がなく、備え付けのごみ箱に捨てるのがマナーだからだ。
これは、中国で使われているトイレットペーパーが日本ほど質のよいものではないため、水洗トイレに流しても溶けないことに由来する習慣の違いである。

この状況に対応すべく浅草寺側も、トイレ内において
「請將衛生紙丟入 馬筒内並沖水」(トイレットペーパーは流せます) と貼り紙を行ったが、イマイチ効果がないらしい。

これについて、中文導報社の張石副編集長によると、
「(この紙は)すぐ溶けて流すことができますよ この便器は詰まらないですよ」
と書けば中国人もちゃんと流すのだと言う。
しばらくは対応に苦労がありそうだ。

しかしながら、最近は中国国内でもマナーには変化があるという。
中国料理店「上海」の曹燕華さんは、中国人のマナー問題に対し今後良い方向に進むとし、 「中国でも大都会で生活していた人ならば、ほとんどがマナーも向上してきた。
これから時間が経過するに従って、いい方に行くと思われる」 とコメントしている。

番組では、 「その昔、日本人も洋式便座にが導入された頃、その使い方に戸惑ったりビデの使用方法を間違ったりした」 ことを例に出し、言わば習慣の違いがマナー違反に繋がってしまう事情を紹介。

また、京都の嵐山の「嵯峨嵐山おもてなしビジョン推進協議会」を開催し、中国人留学生を講師として招くことによって中国人観光客に対する対応方を学ぶセミナーを実施している。
例えば京都では、大変美しい庭があると一般家庭でも中国人観光客が入ってしまい、記念撮影などを行ってしまうなどの問題が発生している。
このような問題に対する対処として最も重要なのは、 「無断で入らないでください」 ということはっきりと意思表示・伝達することであると言う。

いずれにせよ、今後の日本経済を左右する中国人観光客の存在。
彼らに対応するに当たってしばらくは「マナー問題」が表裏一体で付きまといそうだが、これを「困ったこと」と忌避するのではなく、「習慣の違いから来る解決可能な問題」と定義し乗り越えていかねばならない。
このポイントもまた、中国人観光客インバウンド施策で成功するための重要なファクターになりそうである。

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